足跡
メタボ対策にウォーキングをはじめて半年になる。
ウォーキングのコースは、近所の公園からスタートし、港沿いの歩道を防波堤までまっすぐ歩き、突き当たった防波堤を海をチラチラ眺めながら進む、というお決まりのコースだ。時間にして一時間。直射日光の厳しい今どきは、陽が傾き、ほんの少し日差しが和らいだ時間帯に歩いている。
珍しく、ザーッと夕立が走った木曜日の翌日・・・・・
その日は、朝からピーカンで、昨夕の夕立がなかったかのように道路は干上がっていた。夕方の公園では花壇の土も木々の葉も強烈な日差しで萎れ、乾ききっていた。
いつものように軽いストレッチを済ませ、ウォーキングを開始した。
と、公園を出発し10メートルほど歩いたところで、歩道に足跡があるのに気付いた。
赤土の足跡で、足裏の形から素足であることが推察された。22センチほどのサイズの足跡は幅が細く、どうやら子供ではなく女性のようだ。
「べっちょり赤土を付けちゃったようだな。昨日の夕立だな。公園の運動場かな・・・」
ボクは勝手に推測しながら歩いた。
足跡は、ボクのウォーキングコースと並走して進んでいた。
「よほど土にハマったのかな・・・まだ足跡続いているもん・・・」
50メートルほど歩いたが、赤土の足跡は、まだくっきりと見える。歩幅も狭いので、小柄の女性かもしれない・・・どうして裸足なのかな・・・どこまで行くのかな・・・などと想像しながらボクは歩を進めた。
歩きはじめて4分ほど経過した。距離で300メートルは歩いたかな。赤い足跡はまだ続いていた。かすかに赤土は薄れているものの300メートルも足跡が残るものなのか・・・ボクはちょっと気になった。
もうすぐ突き当たりの防波堤だ。公園から防波堤までは優に1キロメートルはあるはずだ。
・・・まだ赤い足跡は続いていた。正確にいうと、ボクはもう「赤い足跡を追っていた」。明らかに「ヘン」だ。赤土の痕跡がそんな長距離残るとは思えないし、素足で熱いコンクリートの歩道を何キロも歩くことも考えにくい。
足跡は防波堤で突き当たり、ボクのいつものコースを並走するように、防波堤沿いを北に向かっている。もう2キロ以上は進んだはずだ。
ボクの頭は、いつの間にか赤い足跡の興味と得体の知れない不安と足跡のゴールの確認でいっぱいになっていた。
いつも、チラチラ眺める海もその日は目もくれず、足跡に集中し歩いた。
・・・と、防波堤の、なんの変哲もない場所で足跡は忽然と無くなっていた。進行方向を変えたでもなく、踵を返すのでもなく、休むのでもなく・・・歩行中に消えた・・・感じなのだ。
あれれ・・・・ボクはストレッチをするふりして歩を止め、足跡の消えた一帯をそれとなく観察した。が、やっぱりなんにもない。鑑識風にいうと、現場に痕跡も物証もない、のだ。
翌日の土曜日。もちろん歩いた。足跡はしっかり残っていた。そして、あくる日の日曜日、赤い足跡は、なぜかすっかり無くなっていた。
・・・・あの足跡は、いったい・・・・
ウォーキングのコースは、近所の公園からスタートし、港沿いの歩道を防波堤までまっすぐ歩き、突き当たった防波堤を海をチラチラ眺めながら進む、というお決まりのコースだ。時間にして一時間。直射日光の厳しい今どきは、陽が傾き、ほんの少し日差しが和らいだ時間帯に歩いている。
珍しく、ザーッと夕立が走った木曜日の翌日・・・・・
その日は、朝からピーカンで、昨夕の夕立がなかったかのように道路は干上がっていた。夕方の公園では花壇の土も木々の葉も強烈な日差しで萎れ、乾ききっていた。
いつものように軽いストレッチを済ませ、ウォーキングを開始した。
と、公園を出発し10メートルほど歩いたところで、歩道に足跡があるのに気付いた。
赤土の足跡で、足裏の形から素足であることが推察された。22センチほどのサイズの足跡は幅が細く、どうやら子供ではなく女性のようだ。
「べっちょり赤土を付けちゃったようだな。昨日の夕立だな。公園の運動場かな・・・」
ボクは勝手に推測しながら歩いた。
足跡は、ボクのウォーキングコースと並走して進んでいた。
「よほど土にハマったのかな・・・まだ足跡続いているもん・・・」
50メートルほど歩いたが、赤土の足跡は、まだくっきりと見える。歩幅も狭いので、小柄の女性かもしれない・・・どうして裸足なのかな・・・どこまで行くのかな・・・などと想像しながらボクは歩を進めた。
歩きはじめて4分ほど経過した。距離で300メートルは歩いたかな。赤い足跡はまだ続いていた。かすかに赤土は薄れているものの300メートルも足跡が残るものなのか・・・ボクはちょっと気になった。
もうすぐ突き当たりの防波堤だ。公園から防波堤までは優に1キロメートルはあるはずだ。
・・・まだ赤い足跡は続いていた。正確にいうと、ボクはもう「赤い足跡を追っていた」。明らかに「ヘン」だ。赤土の痕跡がそんな長距離残るとは思えないし、素足で熱いコンクリートの歩道を何キロも歩くことも考えにくい。
足跡は防波堤で突き当たり、ボクのいつものコースを並走するように、防波堤沿いを北に向かっている。もう2キロ以上は進んだはずだ。
ボクの頭は、いつの間にか赤い足跡の興味と得体の知れない不安と足跡のゴールの確認でいっぱいになっていた。
いつも、チラチラ眺める海もその日は目もくれず、足跡に集中し歩いた。
・・・と、防波堤の、なんの変哲もない場所で足跡は忽然と無くなっていた。進行方向を変えたでもなく、踵を返すのでもなく、休むのでもなく・・・歩行中に消えた・・・感じなのだ。
あれれ・・・・ボクはストレッチをするふりして歩を止め、足跡の消えた一帯をそれとなく観察した。が、やっぱりなんにもない。鑑識風にいうと、現場に痕跡も物証もない、のだ。
翌日の土曜日。もちろん歩いた。足跡はしっかり残っていた。そして、あくる日の日曜日、赤い足跡は、なぜかすっかり無くなっていた。
・・・・あの足跡は、いったい・・・・
2011年07月06日 18:26