夢のつづき
錆びたトーテンポールのサインを見つけ、僕らは唖然とし、戸惑い、畏れの空気に包まれます。
殺風景の白い庭の記憶を咀嚼しながら周りを見ます。
低い石垣のつる草が伸び、太い幹が石垣の石を抱き込んでいますが、確かに見覚えがある、あの庭です。
ほんの数十分前に、炎天下でドラム缶を切り、ペンキを塗り、トーテンポールを創った庭です。
それが、数十年も時間が経ったような風景になっています。
高い空にミサゴがヒュルルーと一声鳴くのが風に乗って聞こえます。
庭先から、坂道の先を見下ろすと小さな港が見えます。木造のポンポン船が一隻係留されています。
太陽は真上から、ちょっと傾き、濃い影がコンクリートの庭に投影されています。
僕らは、大急ぎで坂を下り、港に向かいました。
細い坂道を下りきったところで、垣根のような雑木林が行く手をふさいでいます。
背の高いススキと仏葬花が織り込まれたような垣根で、隙間から港と、僕らの乗って来た船が見えます。
声を掛ければ、船上で坂道を見上げている誰かに声が届きそうですが、気づいてくれません。
無理に垣根を押し開いて進もうとするのですが、ぎっちりと織り込まれた仏葬花とススキは隙間さえ開ける事ができないのです。
目前の垣根を諦め、垣根を右手の掌で確認するように押しながら進みます。
垣根の向こう側に開けた桟橋と船が、走馬灯のように見え隠れしています。
このままだと、いつまで経っても船にたどり着けないような焦燥感で汗が吹き出ています。
垣根から掌を離さないようにしながら、慎重に歩きながら港への道を探します。
高い空にミサゴがヒュルルーと一声鳴くのが風に乗って聞こえます。
垣根に掌を添えたまま天空を仰ぎ、ミサゴの姿を目で追いました。
群青の空にミサゴを見つけることはできません。
視線を落とし、掌を添えていたはずの垣根を見直すと、ススキと仏葬花だったはずの垣根が風化した石灰石の石垣と石を抱き込むように伸びたつる草になっています。
背の低い石垣で、石垣の向こうに白く風化した庭、そして錆びて崩れかけたドラム缶の残骸が見えるのです。
・・・・夢のシーンは変わり、僕は木造の小さな船の上にいました・・・・
つづく。
殺風景の白い庭の記憶を咀嚼しながら周りを見ます。
低い石垣のつる草が伸び、太い幹が石垣の石を抱き込んでいますが、確かに見覚えがある、あの庭です。
ほんの数十分前に、炎天下でドラム缶を切り、ペンキを塗り、トーテンポールを創った庭です。
それが、数十年も時間が経ったような風景になっています。
高い空にミサゴがヒュルルーと一声鳴くのが風に乗って聞こえます。
庭先から、坂道の先を見下ろすと小さな港が見えます。木造のポンポン船が一隻係留されています。
太陽は真上から、ちょっと傾き、濃い影がコンクリートの庭に投影されています。
僕らは、大急ぎで坂を下り、港に向かいました。
細い坂道を下りきったところで、垣根のような雑木林が行く手をふさいでいます。
背の高いススキと仏葬花が織り込まれたような垣根で、隙間から港と、僕らの乗って来た船が見えます。
声を掛ければ、船上で坂道を見上げている誰かに声が届きそうですが、気づいてくれません。
無理に垣根を押し開いて進もうとするのですが、ぎっちりと織り込まれた仏葬花とススキは隙間さえ開ける事ができないのです。
目前の垣根を諦め、垣根を右手の掌で確認するように押しながら進みます。
垣根の向こう側に開けた桟橋と船が、走馬灯のように見え隠れしています。
このままだと、いつまで経っても船にたどり着けないような焦燥感で汗が吹き出ています。
垣根から掌を離さないようにしながら、慎重に歩きながら港への道を探します。
高い空にミサゴがヒュルルーと一声鳴くのが風に乗って聞こえます。
垣根に掌を添えたまま天空を仰ぎ、ミサゴの姿を目で追いました。
群青の空にミサゴを見つけることはできません。
視線を落とし、掌を添えていたはずの垣根を見直すと、ススキと仏葬花だったはずの垣根が風化した石灰石の石垣と石を抱き込むように伸びたつる草になっています。
背の低い石垣で、石垣の向こうに白く風化した庭、そして錆びて崩れかけたドラム缶の残骸が見えるのです。
・・・・夢のシーンは変わり、僕は木造の小さな船の上にいました・・・・
つづく。
2011年06月17日 11:13